左半側空間無視 ~転倒への注意と作業療法を~

 リハビリ病院に居たころ気の毒な患者さんが入院してきました。しかし、自分で歩けるのですが、左側の物にぶつかったり、廊下の左側にある自分の病室やトイレが分からないなどの症状がありました。

 私は、右脳に出血し、左半身マヒが残りました。数日後には自分で食事がとれるようになりましたが、右側のおかずばかり食べて左側の皿には手を付けようとしません。
 また、車いすからベッドに移るときの左側のブレーキのかけ忘れや、歩行訓練時の左への不注意があり、いつも転倒の危険がつきまといます。絵をかき写すテストをしてみると、見本の絵の左半分を書き落としていました。また、水平な線の中心に印を付けてもらうテストでは、中心よりずっと右に偏って印をつけていました。

 脳梗塞や脳内出血などの重要な後遺症の一つに、半側空間無視というのがあります。自分の身体や目で見た情景の片側、あるいは奥行きなどの空間の情報処理がうまくいかず、片側、特に左側からの刺激に気が付かないため反応できなくなるわけです。

 半側空間無視は私のように右脳損傷の場合に多く、従って左片マヒを伴う人に多く見られます。ヒトは、右側空間は左右両方の大脳で処理しますが、左側空間の情報処理はほぼ右脳だけで行われているため、といわれています。

 リハビリは、左側に注意を促すような作業療法を行うことでかなり改善すると言われています。碁石並べや塗り絵、絵の模写、グループでの風船バレー(左右どちらにいくか分からない)など、あらゆる方向に注意を向ける訓練をします。

 日常生活の中でも、左側から声をかけたり、左側にラジオやテレビを設置したり、大切なものや部屋に赤いリボンや目印を付けて、注意を促したりします。また、左側への注意不足から左のものにぶつかったり、転倒の危険もあります。段差の解消や滑り止めマットの使用、室内の整とんなど転倒予防対策も必要です。

 半側空間無視の患者さんは、自分ではその症状に気付かないことがほとんどです。左片マヒや左方への不注意がある場合は、半側空間無視を疑い、専門医の正しい診断と適切なリハビリが非常に大切です。


 私は早期から、先ず顔を左に向けて左の景色を確認し、今度は正面を向いて両目を左側一杯に動かして左側を見る訓練を続けました。発症してから3ヵ月後にはほぼ完治していました。とにかく早期発見早期訓練だと思います。

高次脳機能障害とリハビリ:東京都神経科学総合研究所
http://tmin.igakuken.or.jp/medical/06/rehabili2.html




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