懸命に試している限り、失敗しても良い でも、失敗して後悔するのは最低だ

 急性期病院では週に1回シャワールムで看護婦さんが体と頭髪を綺麗にしてくれていたが、リハビリ病院に転院すると大きな浴場があり、数人が一緒に入った。

 脱衣所や浴室内は、麻痺の程度によって、看護婦さんや看護助さんが介助していた。

 私は早期からほぼ介助なしで入浴を済ませるようになっていた。「入浴は一人で済ませたい」気持ちが大きかったからだが、出来ないことは頼むようにしていた。


 さて、リハビリ病院を退院した日にまず考えたのが、「入浴は人の助けなしに一人で済ませたい」でした。

 杖なしで歩くことは出来るが、麻痺の手は少ししか動かない。
 
 出来る所まで一人で努力し、どうしても駄目なら妻を呼ぼうと決めて行動を起こした。

 浴室の前にイスを置いてくれていたので、一人で脱衣できた。
 
 季節は初夏の6月はじめ、寒くはない。
 
 浴室にはいると、浴室で使えるイスが置いてあった。

 浴室も浴槽も改造はしていない。手すりも滑り止めの加工もしていない。


 イスに座り麻痺のない右手に桶を持って浴槽から湯を汲んで身体にかけた。
 
 そして浴槽に入ろうとした。

 滑らないように注意して麻痺の左足から入り、ゆっくりとしゃがんだ。

 温まってから右手で浴槽の縁を掴んで立ち上がり、ゆっくりと出た。


 さて、右手だけでも身体の殆どを洗うことが可能だが、背中は片手で洗うことは出来ない。

必死に出来る方法を考えた。

 麻痺の左手にタオルの端を巻き付けるようにしてから、タオルを襷がけにして右手を動かした。
 
 なんとか背中をこする真似事が出来た。毎日続ければ必ずちゃんと出来るようになるだろう。


 さてさて、ここまで出来れば御の字だが、ここからが大変です。

 タオルを濯いで絞ろうと思い、何とかたたんで麻痺のある左手に持たせた。
 
 左手でタオルを強く握ることは出来ないから、両手で絞ることが出来ない。何度試みても左手に力が入らない。

 左手を見つめたまま涙が出てきた。そして、ついに妻を呼んだ。


 この日は妻に身体を拭いてもらった。衣服は自分で着た。

 毎日努力を続けた。いつの日にか一人だけで入浴できる日が来ることを信じて。

 そして、秋が来る頃には脱衣・入浴・着衣を一人で出来るようになり、浴場用のイスも不要になったのです。



 懸命に試している限り、失敗しても良い。でも、失敗して後悔するのは最低だ。

 後で後悔しないために全力を尽くしたことが成功に繋がったと思う。
 
 あの時こうすれば良かったと後悔することの辛さよりも、やるべきことをやるために、努力をする辛さの方がよほど良い。


 皆さん頑張りましょう。

画像


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント