日常の生活を送るためには基本動作だけでは不十分です

ADLとは、Activities of Daily Living の略で、毎日の寝起き・着脱衣、移動、食事・排泄、洗面・入浴など、日常の生活を送るために必要な基本動作のことです。

 脳出血や脳梗塞で運動機能が麻痺した場合でも、生活する上で必要な最低限の動作です。入院リハビリ中でも、早い段階でこれらの基本動作が自立出来るようになることが望ましいのは言うまでもありません。しかし基本動作だけでは社会復帰は出来ません。

 退院して自宅に戻ると、買い物・電車などの利用、薬の管理や金銭管理、掃除・洗濯、電話など、そして趣味活動も必要です。つまり、社会生活を送るためには、基本動作だけでは不十分なのです。
 
 QOLとは、Quality of Life の略で「生活・人生の質」と訳されます。簡単に言うと「日常生活の質」。回復期リハビリテーションの目標はADLの自立です。しかし私たちが自宅に帰って、自分の意志で自分らしく生きるためにはADLの自立だけでは不十分なのは明白です。

 そこで、QOLを高めようという意見がありますが、私たちには不適切なフレーズです。  本当は、元の身体に戻してもらいたいのです。完治ではなく、少しの不自由はあっても歩くことが出来、何とか両手が使えるようにしてもらいたい。

 と言うよりも、リハビリ医療は、この考えを目標に150日のリハビリプログラムを組み立てて治療に当たる責任があると考えています。ADLの自立は最終目標ではなく、入院初期の目標とすべきです。

 リハビリテーション科の専門医だけが麻痺の治療者ではありません。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士も、厚生労働大臣の免許を得た治療技術者です。脳出血や脳梗塞などで上下肢が麻痺して自分で動かすことが出来なくなったとき、この運動機能を投薬などの治療で元に戻す方法は未だに確立していません。

 麻痺した手足を動かせるようにするためにはリハビリテーションしかないのです。そして、そのリハビリテーションを現場で担当するのが、各療法士なのです。





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