麻痺の無い手で麻痺手を動かすことで手が動く様になる仕組み

 脳は全身の器官と結びついていますが、中でも最も密接に結びついているのが手です。例えば、右手の人差し指の付け根の関節を、ゆっくりと曲げたり伸ばしたりする運動を繰り返してみましょう。この時、脳では右手の人差し指に関係のある部分が働いています。体を動かすために働く領域は運動野と呼ばれおり、手の各部分、足の各部分など、体の各部分に対応した運動野が脳にはあるのです。

 右手の人差し指を動かすと、手の運動野が働きます。また、指が動くと、その部分の関節や筋肉の形、更に皮膚の状態なども変化します。それによって、手の皮膚に分布している感覚を受取る器官が刺激を受けます。その刺激は神経を通じて脳に送られ、脳では手の皮膚感覚を司る領域(これを手の体性感覚野という)が働きます。

 すると、脳の運動野や体性感覚野の間に連絡網ができ、手の指を曲げたり、伸ばしたりする運動を細かく調節できるようになる。この運動野や体性感覚野の間の連絡網は、シナプスによって構成されます。

 脳の神経細胞は軸索(神経線維)という長い突起を出して互いに連絡し合っています。この軸索が他の神経細胞と連絡し合う場所には、ほんの少しずつ隙間があります。その大きさは約1/500万mmほど。この隙間がシナプスと呼ばれ、脳はこの部分を通じて情報を伝達しているのです。そして、脳の働きは、このシナプスの連絡網(神経回路)の数によって決まります。

 脳の運動野や体性感覚野のうち、手を動かすことに関係した部位は、とても広い領域を占めている。手に関係する脳の部位は、足に関係する部位の4倍以上はあると言われています。 その為、脳梗塞などの後遺症による麻痺は、足よりも手に強く出ることが多く、それも体の中心から遠い部分、つまり手なら腕よりも手の指の筋肉に強く起ることが知られています。

 手を動かすことは、麻痺回復のために極めて重要です。手の指を曲げたり伸ばしたりするのを繰り返すだけで、手の指に係る脳の運動野と体性感覚野が働き、さらにはその間にシナプスの複雑な連絡網が作られ、手の指の運動を細かく調整できるようになるからです。

 手の人差し指を動かす運動を繰り返しただけで、その部分に対応する脳の血流が約30%増加するといわれています。指を動かすだけなら運動野だけが働くが、考えながら手を使うと、さらに前頭連合野も働くようになると言われています。

 私は「麻痺手が動くように念じながら」麻痺の無い手で麻痺手の指を動かすことでより動きやすくなると考えています。それはBMIを利用したリハビリ装置と似ているからです。
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